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第6章 委貝及び調査会の報告から得られる地域おこしの成功条件
過疎の1,208市町村に対する「文化・芸術資源を生かした過疎地域振興のあり方に関する調査」の基礎資料は、有効回収率95.7%の高率で、1,156市町村からの回答を得ている。
この調査の信頼度は、例えば指定条件別の指定文化財件数を見ても、国指定が文化庁の調べで16,273件であるのに対して、過疎の市町村には、2,111件ある事実が判明し、都道府県指定では、18,057件に対して3,802件、市町村指定は70,624件に対し18,945件、総合計104,964に対して24,858件、即ち指定文化財の約23.7%が過疎市町村に存在することがわかった。
従って、市町村の中に占める過疎市町村の割合から察しても、文化・芸術を手掛りに、新しい村や町を造ろうとする動機は、かなりあるのではないかと思われる。
しかし、実際に過疎市町村に入ってみると、こうした古いものが伝わっているから、わが村わが町は古く、そのために新しさに引かれて人々が流失し、村や町の発展が阻害されているのだと考えている過疎市町村があるのも事実である。
ここに諦念が覆いかぶさると、芽の発見は一層困難になる。
そこでまず求められるのは、自分達の内側にある文化の価値観の再検討である。「地方」が根強く持ってきた血縁地縁の良い面を、現代の眼で見つめ直し、わが村わが町には、このような素晴らしい文化遺産があったのかと、村民町民が知ることである。
問題点を通覧して気づくのは、せっかく興しても、宣伝不足による入り込み客や観客者の減少停滞を訴えているところが多い。
この原因の一つは、こうした振興事業が自治体との関連や指導に負う部分がどうしても出て来るのが通例であるが、市町村自治体の欠点の一つは宣伝下手と言うより、一度市町村だよりに掲載すると、市町村民全部が知っている、あるいは知っているはずだ、もしくは知るべきであるという観念が、上意下達の封建組織以来、未だに抜け切っていないからである。
手がかりとなる文化が、広く地域にその存在や由来を知られていたり、古代の遺跡の発見や出土品の新発掘など、マスコミによって周知が届いている場合は別として、この文化によって興す気運が出てきたり、決定をみたりしたら、完成までの間に、可能な限りの宣伝手段を同時に考えることが必要である。巨大博覧会でさえ、知名度を勝手に推量して、遠隔地からの集客ばかりを睨って、地元への宣伝を怠ると、開幕してから期間終了までの3分の2ないし5分の4は、地元民がほ
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